2017/05
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『氷歌』その4
 


  私が八歳の時に起きたこの凶悪な誘拐事件の記憶は、犯
 人によって短歌が詠まれていたという意外な側面から溢れ
 るようによみがえってきました。

  母親が、自分の子を誘拐され殺されるという衝撃。子を
 失った吉展ちゃんの家族の悲嘆と怒り。

  もし私がその立場になれば、そしてそれが可能ならば、
 私は犯人を自分の手で裁くでしょう。法律など母親や家族
 には関係ありません。

  そして、また小原保の母親も小原保が事件を起こしたこ
 とにより、まさしく息子を失ったのです。

  母親とは、なんとかなしいいきものでしょう。


  私が小原保の歌に心を打たれたのは、私がその時「母親」
 であった、からです。

  小原保の天性の歌心に捉まれたというよりも、私自身が
 『母親』であったことが私を突き動かしたのです。


  一度は流産で子を失い、自分をも失いそうになっていた
 私の所へ、『遥か彼方から』息子はやってきたのでした。




氷歌

  『氷歌』のページをめくると、装丁「○○○○」と茶目
 太の旧姓(詩や文章を書く時のペンネームでもあります)が
 載っています。

  でも、装丁をしたのは元連れです。なかなか内容にマッチ
 した優れた装丁だと思います。


  『氷歌』は私が企画し、小原保が短歌を発表していた歌誌
 の撰者に会いに行き、交渉し編集と解説の内容の検討を重ね
 て、制作を進めました。
  自ら和文タイプで打つなど頑張っていたので、元連れには
 「どこかに名前を入れてやりたい」という思いがあったので
 しょう。

 
  一冊の本から、そんな昔の記憶が戻ってきました。


  これは予約更新の予定ですから、リアルタイムではないの
 ですが、今、その元連れと息子が二人でドライブに出かけて
 います。

  最近仕事で帰りが遅く、家事まで回らない茶目太。

  忙しさは変わらずとも、比較的時間の配分が自由になるし
 若い分息子に甘えて食事の用意をしてもらっているので、今
 日はカレーをつくりました。みよ彦さんも入れて4人で食卓
 を囲みました。


  「お母さんが作ったのが一番おいしいね。」と言われるの
 は、このカレーだけになってしまいましたが、元連れはこの
 カレーを時々食べに来ています。







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『氷歌』その3
  『吉展ちゃん事件』の誘拐殺人事件の犯人、死刑囚小原保。


  底までもかく透き通る朝の湯に刑死の近き生命を洗ふ


  この歌には、己れの死刑執行を潔く受け入れ、穏やかで
 さえある心境が映し出される。

  死と対極にある「生」を、ここに生きてあること、それ
 自体を享受している。死刑囚が洗うのは「生命」である。

そして、生命は処刑される日を待っている。

 

  悼まれず果てん生命を相共に労り寄りて冬日向あり



  この世に「悼まれない」命があることを私は初めて知り
 ました。死刑囚のこの歌から「悼まれない」で果てる、と
 いうことに初めて想いを馳せたのです。

  小原保は、この「悼まれず」という初句により、説明を
 要することのない自らの背景を語って余りある歌を詠みま
 した。



  新しき位牌の母は金網越しに兄に抱かれ逢いに来給ふ


  位牌が新しいこと、金網越しであること、それが兄に抱
 かれていること。言葉が伝えるものが言葉の単なる意味で
 はなく、この歌には意味以上の佇まいがあることが分かる
 歌です。

  母は位牌となって逢いに来たのです。


  この母の想いはどんなだったでしょう。母親の死期を早
 めた原因は明らかでしょう。心労は計りしれません。


  昭和と平成の狭間で起きた宮崎勤による『連続幼女誘拐
 殺害事件』の父親は自殺したと記憶しています。

  正に子どもの罪を親の死をもって贖うということでしょ
 う。犯罪加害者の父親の自殺は多いように思われます。

  反対に母親は自分からは死んでも死にきれません。


  小原保の歌に「自らの骨の始末」という言葉を織り込ん
 だ歌がありますが、この始末を委ねられるのは母親だけ。

  小原保は死刑執行前に母親を亡くし、「自らの骨の始末」
 を委ねる人がいませんでした。
 

  母親は、もし自分が死ぬことで被害者の命が戻るのなら、
 死にます。でも、それが不可能なら全世界を敵に回した子
 のために「骨の始末」をするために生きるのです。


 



  今日は、茶目太の授業のお休みの日。

  生徒の感想文の紹介は、後日ということに…






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『氷歌』その2
  下準備をして授業に臨んでも、自分の思いが深すぎると、
 かえって思うように言葉が出てきません。

  火曜日には、『みだれ髪』(与謝野晶子)を取り上げて、
 与謝野鉄幹と結婚に至るまでの不倫から生まれた女の情念
 について説明しようと思っていてのですが、生徒の心がそ
 こまで熟していないので、ちんぷんかんぷん。
  
  まっ、しょうがないなあ。


  人を恋し、愛する気持ちは誰にも止めることはできない。

  だからといって、他の人の心を踏みにじって自分の恋を成
 就させても罪悪感が終始付きまとう。必ずリスクが伴う。


それでもなお身を捨てて恋に落ちる男女もいる…

  たった一度の人生をどう生きるかはその人次第…

  そんなことをしどろもどろに話して、与謝野晶子の短歌を
 いくつかあげて時間は過ぎて行きました。


  結論。高校生に与謝野晶子は無理。苦笑。


  ちなみに私の好きな与謝野晶子の短歌は、


やわ肌の熱き血汐に触れもみでさびしからずや道を説く君



  で、軌道修正。続けて俵万智に行くつもりでしたが、間に
 『氷歌』を入れることにしました。恋の歌続きでは飽きてし
 まうのは必至。水曜日の授業は恋とは無関係で行きました。


  誘拐殺人というショッキングな事件を背景に、その犯人が
 詠んだ短歌ということで、集中させようとしましたが、今ひ
 とつ。

  最初の授業は1年生でまず身近に起こった衝撃的な事件を
 それぞれ上げて貰い、茶目太自身にとっての身近で衝撃的な
 事件が吉展ちゃん事件であったことを導入してみる。

  2年生は、黒澤明監督の『天国と地獄』の映画から犯人が
 誘拐事件を思いついたということを導入。

  2年生には、既に黒澤明監督生誕100年ということで、
 「世界の黒澤」が注目されたリアリティ…人を斬れば血しぶ
 きがあがる、黒澤監督はそれを初めて映像化したのだと話し
 た時、生徒の目がいつもと違ったと思えたからです。

  今や、映画やドラマで「血しぶき」なんて当たり前。でも
 外国ではなく日本の監督が世界に先駆けて…ということを耳
 にしてちょっと関心が出たらしい。


  『氷歌』は、与謝野晶子よりは分かり易く、平明な言葉で
 構築されています。文学というものを学ぶ機会を得なかった
 貧しい死刑囚には、かえって普通の言葉で真実を語る力があ
 りました。


  死刑囚の短歌は解説なしでも理解可能で、茶目太が昔、も
 と旦那さんと出版の仕事をしていたことをちらりと話す時間
 もありました。

  朝日新聞に事件後20年ということで掲載された、小原保
 の獄中で詠まれた短歌に、茶目太がどんな風に心を打たれた
 かを説明するところまで行きました。
  

  時間切れで、三年生の授業となり、三年生にはキャリア教
 育の意味も込めて、自分が出版の仕事に携わり、自分で誘拐
 犯人の歌集を出版することを企画したことを話題にしてみる。

  歌誌の主催者関係の人に出版の許可を得にいったり、編集
 や解説の内容を練り、自分で和文タイプを打ったことなども
 話し、本は売れなかったけれども茶目太にとっては宝物のよ
 うな存在。自分が情熱を傾けた証だから。


  三年生に一番伝えたかったこと、

  『やりたいことをやってみなさい。』

  『やりたいことをやって失敗したら、それはそれで後悔も
 しないし、また次の新しいことに挑戦することができる。』


  そして、茶目太はたくさんの失敗を繰り返し、現在の仕事
 に戻ったこと。自分には普通高校の大きな教室は合わない、
 YGS高等部の教室に居ることが楽しいこと。

  本当にやりたいことは、五十歳になってもやれる。遠回り
 してもやりたいことをやろう。正直この年で「先生」に復帰
 するのはきつい。ブランクが長すぎて字も忘れている。

  そんな数十年のブランクを問題にせず、茶目太を採用した
 校長に感謝していること。

  隣の教室で授業している校長には聞こえないように、そっ
 と三年生に話した茶目太でした。   


 
  短歌という共通の授業は、こんな風に学年ごとに様相を変
 えて行ったのですが、肝心の短歌の鑑賞は、一見平明に見え
 る小原保の短歌に隠されている『死刑囚』のみがとらえる
 『ことば』の重みに注目することで時間切れでした。



   底までもかく透き通る朝の湯に刑死の近き生命を洗ふ


   悼まれず果てん生命を相共に労り寄りて冬日向あり


   次回は、みんなに心に残った小原保の歌を三首選んで感想
  を書いて貰います。



   次回へ続く





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『氷歌』その1
     氷歌 2
      誘拐犯人の手による短歌集『氷歌』



氷歌


  何故、私がそんな卑劣で凶悪な犯人の短歌集など制作
 したのか。


  犯人、小原保の作品を読んでいただければ理解してい
 ただけるでしょうか。


  「罪を憎んで人を憎まず。」と言えるのは、犯罪被害
 者の家族すなわち当事者ではなく傍観者だからでしょう。

  それは分かるのですが、犯人小原保の歌が朝日新聞に
 記事として取り上げられた時、既に私も母親でした。

  
  それでも尚、小原保の歌に打たれ歌集を世に出したい
 と強く心を揺さぶられたのには、犯人小原保にも母親が
 あり、その母親の気持ちにも考えが及んだからでした。


  我が子を殺された母親の気持は言葉ては尽くせません。
 ましてや、人の子を誘拐し殺してしまった、世間を騒が
 す凶悪犯が自分の息子だと知った母親の気持は。


  どちらも痛ましくて言葉も出ません。


  自分では言葉が出ないので、私は採算の合わない歌集
 でも、世に出さなければならなかったのかなと今ならそう
 思えます。



  つづく
  



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短歌を作ろう!!
 

  YGS高等部では、夏休みまでの間『短歌』について学び、
 自分たちも短歌を作ろうと全学年共通で国語の授業をしてい
 きます。

  教材は教科書から、与謝野晶子『みだれ髪』、他に俵万智
 『あなたと読む恋の歌百首』(朝日新聞社刊)や、誘拐殺人犯
 による『氷歌』(中央出版企画刊)を使います。


   『あなたと読む恋の歌百首』は、茶目太の愛読書。
  朝日新聞連載時から読んでいていました。

  『氷歌』は『吉展ちゃん事件』の犯人小原保の短歌集です。

  実は、『氷歌』は、茶目太が制作した短歌集です。

  中央出版企画は、茶目太の元連れが仲間たちと作った出版
 会社でした。現在は活動していません。


  若い時代に、自分が一番力を注いだものを教材に出来ると
 は思ってもいなかったのですが、その時が来ました。  


  次回につづきます。
  


  臨時ニュースです 

  茶目太のリンク先の一つである海のイルカさんの今日の
 ブログ。たくさんのお母さんに読んでほしいと思いました。


  自分の尺度で子どもを見ていないか、自分がさせたいこと
 を子どもにさせようとしていないか。子どもの心に入って、
 本当の子どもの心を探り、幸せを願う海のイルカさんの言葉
 はたくさんのお母さんの心の目を開くと思います。


  海のイルカさんは、三人の男の子たちのお母さんです。

  こちらからどうぞ。

  『母は強し!』




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茶目太、幼少の頃

茶目太

Author:茶目太
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 不登校等の問題を抱え
入学してきた、少人数制の高校の生徒たちとの学校生活と 
のほほん私生活。
 失敗ばかりの毎日も、
  笑って過ごせば、
   明日も、元気!
 泣いて笑って、また笑って。
やさしい息子と超天然の母が、                いつも茶目太の味方。
   茶目太と一緒に                    笑っちゃいましょ。

ひよこ
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