2017/06
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『氷歌』その2
  下準備をして授業に臨んでも、自分の思いが深すぎると、
 かえって思うように言葉が出てきません。

  火曜日には、『みだれ髪』(与謝野晶子)を取り上げて、
 与謝野鉄幹と結婚に至るまでの不倫から生まれた女の情念
 について説明しようと思っていてのですが、生徒の心がそ
 こまで熟していないので、ちんぷんかんぷん。
  
  まっ、しょうがないなあ。


  人を恋し、愛する気持ちは誰にも止めることはできない。

  だからといって、他の人の心を踏みにじって自分の恋を成
 就させても罪悪感が終始付きまとう。必ずリスクが伴う。


それでもなお身を捨てて恋に落ちる男女もいる…

  たった一度の人生をどう生きるかはその人次第…

  そんなことをしどろもどろに話して、与謝野晶子の短歌を
 いくつかあげて時間は過ぎて行きました。


  結論。高校生に与謝野晶子は無理。苦笑。


  ちなみに私の好きな与謝野晶子の短歌は、


やわ肌の熱き血汐に触れもみでさびしからずや道を説く君



  で、軌道修正。続けて俵万智に行くつもりでしたが、間に
 『氷歌』を入れることにしました。恋の歌続きでは飽きてし
 まうのは必至。水曜日の授業は恋とは無関係で行きました。


  誘拐殺人というショッキングな事件を背景に、その犯人が
 詠んだ短歌ということで、集中させようとしましたが、今ひ
 とつ。

  最初の授業は1年生でまず身近に起こった衝撃的な事件を
 それぞれ上げて貰い、茶目太自身にとっての身近で衝撃的な
 事件が吉展ちゃん事件であったことを導入してみる。

  2年生は、黒澤明監督の『天国と地獄』の映画から犯人が
 誘拐事件を思いついたということを導入。

  2年生には、既に黒澤明監督生誕100年ということで、
 「世界の黒澤」が注目されたリアリティ…人を斬れば血しぶ
 きがあがる、黒澤監督はそれを初めて映像化したのだと話し
 た時、生徒の目がいつもと違ったと思えたからです。

  今や、映画やドラマで「血しぶき」なんて当たり前。でも
 外国ではなく日本の監督が世界に先駆けて…ということを耳
 にしてちょっと関心が出たらしい。


  『氷歌』は、与謝野晶子よりは分かり易く、平明な言葉で
 構築されています。文学というものを学ぶ機会を得なかった
 貧しい死刑囚には、かえって普通の言葉で真実を語る力があ
 りました。


  死刑囚の短歌は解説なしでも理解可能で、茶目太が昔、も
 と旦那さんと出版の仕事をしていたことをちらりと話す時間
 もありました。

  朝日新聞に事件後20年ということで掲載された、小原保
 の獄中で詠まれた短歌に、茶目太がどんな風に心を打たれた
 かを説明するところまで行きました。
  

  時間切れで、三年生の授業となり、三年生にはキャリア教
 育の意味も込めて、自分が出版の仕事に携わり、自分で誘拐
 犯人の歌集を出版することを企画したことを話題にしてみる。

  歌誌の主催者関係の人に出版の許可を得にいったり、編集
 や解説の内容を練り、自分で和文タイプを打ったことなども
 話し、本は売れなかったけれども茶目太にとっては宝物のよ
 うな存在。自分が情熱を傾けた証だから。


  三年生に一番伝えたかったこと、

  『やりたいことをやってみなさい。』

  『やりたいことをやって失敗したら、それはそれで後悔も
 しないし、また次の新しいことに挑戦することができる。』


  そして、茶目太はたくさんの失敗を繰り返し、現在の仕事
 に戻ったこと。自分には普通高校の大きな教室は合わない、
 YGS高等部の教室に居ることが楽しいこと。

  本当にやりたいことは、五十歳になってもやれる。遠回り
 してもやりたいことをやろう。正直この年で「先生」に復帰
 するのはきつい。ブランクが長すぎて字も忘れている。

  そんな数十年のブランクを問題にせず、茶目太を採用した
 校長に感謝していること。

  隣の教室で授業している校長には聞こえないように、そっ
 と三年生に話した茶目太でした。   


 
  短歌という共通の授業は、こんな風に学年ごとに様相を変
 えて行ったのですが、肝心の短歌の鑑賞は、一見平明に見え
 る小原保の短歌に隠されている『死刑囚』のみがとらえる
 『ことば』の重みに注目することで時間切れでした。



   底までもかく透き通る朝の湯に刑死の近き生命を洗ふ


   悼まれず果てん生命を相共に労り寄りて冬日向あり


   次回は、みんなに心に残った小原保の歌を三首選んで感想
  を書いて貰います。



   次回へ続く





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No title
毎日なるほど~っと読んでいますよ~先生


涙が・・・
「氷歌」

文学はおろか 文章そのものとも 縁遠い私ですが
(ふくすけの 文字のLD傾向に近いものを やはり親の私も
持ってるようで・・・^^;)
負の感情から 解き放たれた情景が 目に浮びました。

とても 謙虚な そして懺悔したような心境になって
涙が出ます。

次の授業心待ちにしてますね。


アホなことばっかりしていますが
 ミリわんさんへ

 一応茶目太の本業は、国語のせんせいだったのです。知ってた?おかしゃん。


生徒以上に…
 おたふくさんへ

 学校の授業での生徒より、ずっとずっと真剣に読んで下さったのですね。嬉しいです。ありがとうございました。


黒ねこ時計
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茶目太、幼少の頃

茶目太

Author:茶目太
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入学してきた、少人数制の高校の生徒たちとの学校生活と 
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